2023年11月4日
このたび、最高裁判所より、第一審敗訴、高裁敗訴からの逆転勝訴(決定)という大逆転勝利の判断を頂くことができました(裁判例結果詳細 | 裁判所 – Courts in Japan)。会社法上の条文解釈に関する画期的判断であり、株主保護の観点より大変意義のあるものです。
仮にご依頼者様が高裁敗訴の段階で、最高裁への申立てを断念されていたとすれば、今回の最高裁決定は得られませんでした。
最高裁への申立てにご快諾を頂き、最高裁まで強いご意志をもって争われたご依頼者様には、敬意を表するとともに、最後まで全幅の信頼を置いて事件を任せてくださったことに心より感謝申し上げます。
経緯としては、当方が株主側で申立てを行った株式買取価格決定申立事件(非訟事件)において、
地方裁判所及び高等裁判所は、
株主が会社に対して反対株主の株式買取請求権(会社法785条1項)を行使するにあたっては、株主が会社に送付した議決権行使の委任状は反対通知(会社法785条2項1号イ)には当たらず、申立ての要件を欠くとして、
第一審敗訴(申立却下決定)
控訴審敗訴(抗告棄却決定)
という厳しい判断を下しておりました。
しかし、最高裁判所では、本件での議決権行使の委任状は、株主が会社に対し、反対株主の株式買取請求権(会社法785条1項)を行使する上での反対通知(会社法785条2項1号イ)に当たるとして、高等裁判所決定を破棄し、これまでの下級審の判断をすべて覆す逆転決定となりました。
最高裁判所決定では、会社法における反対株主の株式買取請求の行使要件(反対通知)に関する条文の趣旨及び法解釈についての判断が示されました(092454_hanrei.pdf (courts.go.jp))。当該決定は、これまでのコンメンタール等の解説に変更をもたらすものであり、現在の実務に対し株主保護の観点より見直しを迫る極めて重要なものです。
おそらく、会社法の分野において、今後注目の最高裁判断になるのではないかと思われますので、追ってコラムにてご報告させて頂きます。
(弁護士 高橋佳久)
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