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インターネットに書き込まれた誹謗中傷は削除できるの?!

#インターネット誹謗中傷

2023.08.17

削除の対象となる誹謗中傷とは?!

インターネット上のソーシャルネットワークサービスにおいて、匿名の何者かにより、身に覚えのないことを書き込まれたり、酷い内容の悪口を書き込まれたりすることもあるかと思われます。また、企業においては、商品や法人に対する虚偽の投稿により信用を害されることもあるでしょう。本記記事では、裁判手続を利用して、いかなる内容の投稿であれば、インターネットから削除できる可能性があるのかについて、代表的な事例について解説していきます。

名誉を毀損する投稿

名誉を毀損する投稿については、名誉権を侵害するものとして、当該投稿を削除できる可能性が高いです。では、「名誉を毀損する」とは、どのようなことを言うのでしょうか。

判例において、「名誉を毀損する」とは、人の社会的評価を傷つけることであるとされています。そのため、裁判においては、その投稿が人の社会的評価を低下させたか否かがポイントになります。

また、人の社会的評価である「名誉」とは、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価であるとされています。

裁判所は、当該投稿に前後する他の書込みの内容、書込みがされた経緯等を考慮の上で、一般読者の普通の注意と読み方をした場合にどのように言えるかを基準として判断することとなります。

もっとも、名誉を毀損する投稿であったとしても、一定の場合にはそれが違法とは判断されないことに注意が必要です。
具体的には、以下のとおり、名誉を毀損する投稿が、A. 事実を適示するものか、又はB. 意見論評を行うものかによって、それが違法といえるか否かの判断基準が異なります。

 

【A. 事実を適示するもの】

 ①公共の利害に関する事実であり、かつ、

 ②その目的が専ら公益を図ることにあった場合で、

 ③適示された事実の重要部分につき真実であることの証明があったときは、

その投稿を行った行為に違法性はないと判断されます。そのため、そのような場合には、投稿を削除することはできません。

 

【B. 意見論評を行うもの】

 上記①②に加えて、

 (3)前提事実の重要部分が真実であり、

 (4)人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない場合、

その投稿を行った行為に違法性はなく、当該投稿を削除することはできません。

 

裁判においては、投稿の削除を請求する側において、A. 事実を適示する名誉棄損では、③適示事実の重要部分が真実に反すること、B. 意見論評を行う名誉棄損では、(3)前提事実の重要部分が真実に反することを主張することになります。

侮辱を内容とする投稿

人格を否定するような侮辱を内容とする投稿については、人の人格的利益として保護される「名誉感情」を害すると判断される場合には削除できる可能性が高いです。

「名誉感情」とは、「人が自己自身の人格的価値について有する主観的な評価」であるとされています。
名誉感情が侵害されたといえるか否かについては、当該投稿に前後する他の書込みの内容、書込みがされた経緯等を考慮の上で、「社会通念上許容される限度を超える」か否かを基準として判断がなされることになります。

したがって、社会通念上許容される限度を超える侮辱行為が行われた場合には、当該投稿を削除することができる可能性が高まります。

名誉感情の侵害については、被害者の内心が問題となるため、被害者が自己に関する表現であると認識することができれば成立し得るとされています。この点については、被害者が誰であるかを特定することができるかという「同定可能性」が問題となる前述の名誉棄損とは異なります。

なお、法人に対しては、名誉感情の侵害は成立しないものと考えられています。

プライバシーを侵害する投稿

最高裁はプライバシーを定義しておりませんが、判例の考え方からすると、他人にみだりに知られたくない個人に関する情報や私生活上の事実又はそのような事実らしく受け取られるおそれのある事柄であるということができます。

プライバシーを侵害する投稿が削除できるか否かについて、事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由とを比較衡量し、前者が後者に優越するかを基準として判断されます。
具体的な判断においては、
 ①事実の性質及び内容、

 ②事実が伝達される範囲と具体的被害の程度、
 ③対象者の社会的地位や影響力、

 ④当該事実を含む記事の目的・意義、

 ⑤記事が掲載された時の社会的状況とその後の変化、

 ⑥事実記載することの必要

が考慮されることになります。

したがって、上記①~⑥を考慮し、事実を公表されない法的利益がこれを公表する理に優越する場合には、当該投稿を削除することができます。

その他の権利利益を侵害する投稿

本前述の権利利益を害する投稿に加え、著作権や業務遂行権を侵害する投稿、さらには、犯罪報道についても、一定の場合には削除することができる可能性がございます。

 

インターネット上の投稿を削除するための判断においては、本記事で解説したほかにも様々な法的論点が存在しております。
裁判手続を利用して、インターネット上の投稿を削除するためには、様々な論点について適切に主張立証を行う必要がございます。
インターネットにおいては、時間の経過と共に、記事が拡散されて被害が拡大してしまった場合には、当該記事のすべてを削除するのは困難となることも生じ得ます。
そのため、被害を最小限にとどめるためにも迅速な対応が必要となり、悪質な投稿に対しては投稿の削除以外にも様々な法的措置が考えられますので、できるだけ早期に専門家にご相談を頂くことが得策であると考えられます。

 

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