令和5年6月1日、消費者庁より、令和4年度における景品表示法の運用状況が公表されました。直近の景品表示法の運用状況を確認することで、違反事件の傾向や表示規制等の動向を把握し、御社の広告戦略等にお役立て頂ければと思います。
本コラムでは、消費者庁が公表した令和4年度の景品表示法の運用状況において、特に表示事件についてご紹介させて頂きます。
令和4年度において、消費者庁が事業者に対し、表示について是正措置を行うよう命令を行った事件は、合計41件ありました。
是正措置命令が出された事件の内訳は、以下のとおりです。
①プラスチック製品の生分解性能に関する不当表示 10件
②消化用具の消化性能に関する不当表示 5件
③衣料品の痩身効果又は筋肉増強効果に関する不当表示 4件
④健康食品等のがんや難治性の疾患を改善する効果や
新型コロナウイルスの感染予防効果に関する不当表示 4件
⑤コンサートの座席レイアウトに関する不当表示 3件
⑥就職支援サービスの実績に関する不当表示 2件
⑦四輪車等の燃費向上効果等を標ぼうする商品に関する不当表示 2件
⑧健康食品の痩身効果に関する不当表示 1件
⑨空間除菌用品の交換に関する不当表示 1件
⑩健康食品の栄養成分の含有量に関する不当表示 1件
⑪回転寿司のキャンペーン対象料理の提供に関する不当表示 1件
⑫バストアップ及びボディ痩身に係る役務のNo.1表示に関する不当表示 1件
⑬食品の「通常価格」と称する価額に有する不当表示 1件
⑭果実ミックスジュースの果汁の含有割合に関する不当表示 1件
⑮健康食品の新型コロナウイルスの感染予防効果に関する不当表示 1件
⑯オンライン個別学習指導に係るNo.1表示及び期限限定表示に関する不当表示 1件
⑰学習塾の個別指導の料金に関する不当表示 1件
社会的に関心の高まっているSDGs(持続可能な開発目標)に関連し、プラスチック製品の生分解性能についての不当表示に対して、計10件の措置命令が出されました。
生分解性能についての不当表示とは、食品用カップ、スプーン・フォーク・ナイフ、ビニール袋、エアガン用BB弾、釣り用疑似餌について、当該商品が自然界に放置されたとしても水と二酸化炭素に分解される等と表示したが、これに関して合理的根拠を確認することはできなかったといった事例がみられました。
また、令和4年度においては、まだまだ消費者の新型コロナウイルス予防についての関心が高いなか、感染予防効果、消毒・除菌等の効果に関する不当表示に対し、計4件の措置命令が出されています。
事例としては、当該商品をリビング・車内等に設置すれば空間浮遊するウイルス又は菌を除去・除菌できるかのような表示、健康食品・サプリメントを摂取すれば免疫力が高まり新型コロナウイルスの感染予防効果が得られるかのような表示等を行ったが、これに関して合理的根拠を確認することはできなかったといった事例がみられました。
さらに、いわゆるNo.1表示(「No.1」、「第1位」、「トップ」、「日本一」等と強調するもの)に関する不当表示に対し、計2件の措置命令が出されています。
具体的事件として、豊胸施術・痩身施術に係る役務につき「バストアップ第1位 施術満足度」、「ボ ディ痩身第1位 施術満足度」等と表示することにより、これに係る施術満足度の順位が第1位であるかのように示す表示を行ったが、実際にはそのような事実はなかった事例がありました。
また、オンライン個別学習指導に係る役務につき利用者の満足度を客観的な調査方法で調査した結果に おいて、同社が提供する本件5役務に係る利用者の満足度の順位が第1位であるかのように示す表示等をしていたが、実際には利用者に対するそのような満足度庁は実施していなかった事例がありました。
令和4年度においては、消費者庁より、15名の事業者に対し、17件の課徴金納付命令が出され、合計3億441万円の課徴金の納付が命じられました。
また、課徴金額が 150万円未満となる等の理由により、 消費者庁が措置命令を行ったものの、過去3年度の間に課徴金を賦課しないこととされた案件の合計数は63件とされております。
具体的事件の概要等については、また別の記事にてご紹介をさせて頂きます。
自社の行う商品や役務の表示につき、景品表示規制の適用に関してご心配な方は、当事務所にご相談を頂ければと存じます。当事務所より適切なサポートをさせて頂きます。
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