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親族による親(高齢者)の囲い込み:親と会えなくされた場合どうしたらよい?!

2024.04.25

【高齢者トラブル】親族による親(高齢者)の囲い込み:
親と会えなくされた場合どうしたらよい?!

親(高齢者)の囲い込み問題とは?!

「不仲の兄弟姉妹により、高齢となった親との連絡が完全に遮断されてしまった」、

「親族間トラブル以後、親と同居する親族が親に全く会わせてくれず、親の安否が不安」などといったご相談をお受けすることが増えています。

 

背景としては以下の事情があるようです。

高齢化社会の進展に伴い、介護施設やケア付き住宅をご利用される高齢者の方が増加しています。親がそのような施設に入所する場合、親と同居する親族が入所の手続を行うことが多いでしょう。

その際、親族間で何らかの揉め事があり、親と同居する親族が、親の入所した施設の情報を一切開示してくれない場合には、それ以降、親と連絡を取ることが難しくなってしまうばかりか、親に会うことすら困難となってしまうことが起こり得ます。
親の囲い込みは、相続の問題を背景として生じることが多く、親が高齢者であることも考慮すれば、できるだけ早期の対処が必要となります。

 

本稿では、このような親族による「親の囲い込み」の問題に関してなされた裁判例についてご紹介いたします。 

親(高齢者)の囲い込み問題に関する裁判例

面会交流の侵害に対して慰謝料請求が認められた事例①

 

平成30年4月11日東京地裁判決は、

「成人し、既に独立した子にとっても、親と面会し、交流することは、法律上保護された利益であり、これを侵害することは、正当な理由のない限り、民法上の不法行為に当たるというべきである。」と判示しています。

 

親族である被告が、親と5年間面会しないように約束させようとしたこと、また、在宅介護中の親と面会するには被告宅の訪問が必要であるにも拘わらずそれを拒絶し続けたことなどから、そのような被告の行為は、原告が親と面会交流する利益を侵害するものとして、原告に対する不法行為を構成するとの判断がなされました。

 

また、原告が被告から情報を得ない限り親の容態を知ることができない中、被告が原告に親の容態悪化を知らせずに面会の機会を与えなかったことは、親と面会する機会を永遠に奪うこととなり、原告が親と面会交流する利益を侵害する行為として、原告に対する不法行為を構成するとの判断がされています。

面会交流の妨害禁止が認められた事例

 

 平成30年7月20日横浜地裁決定では、親族の面会妨害行為に対して、以下の判示がされています。

「債権者は、両親の子であるところ、前記認定事実のとおり、両親はいずれも高齢で要介護状態にあり、アルツハイマー型認知症を患っていることからすると、子が両親の状況を確認し、必要な扶養をするために、面会交流を希望することは当然であって、それが両親の意思に明確に反し両親の平穏な生活を侵害するなど、両親の権利を不当に侵害するものでない限り、債権者は両親に面会をする権利を有するものといえる」

との判断がされました。

 

さらに、当該判決では、債権者が両親と面会するにつき債務者の妨害を予防する必要があることから、債務者及び老人ホームを経営する会社は、債権者が両親と面会することを妨害してはならないものとされております。

面会交流の侵害に対して慰謝料請求が認められた事例②

 

令和元年11月22日東京地裁判決では、
親族である被告が親(A)と原告との面会を拒絶する態度は極めて頑ななものであり、親が独力で移動することができない状況であることなどから、「原告は、被告らによるAとの面会拒絶等により、Aと面会をし、交流をするという機会を奪われる状況に置かれている」と判示しています。

 

また、「たとえ子が成人に達した後であっても、子が親を思い、親と面会し、交流をしたいと願うことは、子の自然な思いとして、我が国の法秩序においても尊重すべきものであり、また、親が会いたくないという意向を有しているといった事情でもない限り、親と面会をし、交流をすることは、本来自由にされるべきものと考えられる。
そうすると、親と面会をし、交流をするという利益は、それ自体が法的な保護に値するということができる(これに反する被告らの主張は採用することができない)から、合理的な理由もないのに、親と会って交流をするという子の機会を奪い、同感情等をいたずらに侵害することは、社会的相当性を逸脱するものとして、不法行為を構成するものと解すべきである」

との判断がなされています。

 

当該判決では、結論として、被告らが長期にわたり親との面会を拒絶してきたこと等を考慮し、原告の被告らに対する慰謝料請求が認められています。

最後に

 

親の囲い込みに関する裁判では、面会を拒絶する親族の行為や、それまでの事実経過等について様々な事情が考慮されます。

そのような親の囲い込みに関する事案では、親がすでに高齢であり事態の一刻も早い解決が望まれることに加え、親族間での衝突が大きいこと、囲い込みを行う親族による親の財産の使い込み、さらにはその後の相続が問題となっている場合も多くみられます。

また、親の認知症が進行しているケースでは、成年後見の問題も併せた対処の必要が生じてきます。

 

できるだけ早い対応が求められる分野であり、保全手続を適切に利用することも重要となります。当事務所では、親の囲い込みの問題に関する裁判手続について経験豊富な弁護士が親身にご相談をさせて頂き、問題解決に向けた迅速な対応を心掛けています。

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