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誹謗中傷を行った加害者を特定する!:法改正で手続はどう変わったの?!

#インターネット誹謗中傷

2023.09.28

誹謗中傷を行った加害者の特定について

 

 X(旧Twitter)などのソーシャルネットワークサービス(SNS)やGoogle Mapのクチコミなどにおいて、何者かにより社会的信用をおとしめる虚偽の事実を書き込まれたり、人格を否定するような酷い悪口を書き込まれたりするなどの被害が増加しております。

 また、匿名の何者かにより、自身のプライバンシーに関する情報が無断で公開されたり、自身の写真が許可なく掲載されたりする事例も多発しております。

 そのような投稿を行った何者かに対して、名誉棄損等による損害賠償請求を行うにしても、まずは投稿者(加害者)を特定する必要があります。

 加害者の特定は、プロバイダ責任制限法を利用して、裁判手続により行う必要がありますが、令和4年10月からは、その手続が簡易化されるなどの法改正が行われました(総務省|インターネット上の違法・有害情報に対する対応(プロバイダ責任制限法) (soumu.go.jp))。
 そのため、インターネットにおいて誹謗中傷を受けた被害者としては、加害者を特定するための追及をより簡易な手続で行うことができるようになりました。

 以下、プロバイダ責任制限法の法改正の概要についてご紹介いたします。

プロバイダ責任制限法改正の概要

 

 2022(令和4)年10月より施行されましたプロバイダ責任制限法の改正法は、分かりやすく言いますと、主に以下の2点について制度改正が行われたものです。

 

  ①情報開示のための裁判手続の簡易化

  ②開示情報の範囲の明確化

 

 これらの制度改正により、被害者にとっては、加害者特定のための裁判手続が利用しやすくなり、より加害者を特定しやすくなったのではないと考えられます。以下、法改正の概要について説明します。

 

情報開示のための裁判手続の簡易化

 

 SNS等を運営する事業者は、SNS等で誹謗中傷を行った加害者に関して、メールアドレスなどの情報を保有していたとしても、加害者個人を特定するための氏名、住所、電話番号等の情報までは保有していないのがほとんどです。

 そのため、法改正前については、被害者が加害者を特定した上で、加害者に対して慰謝料についての損害賠償請求を行うためには、以下の手順を踏む必要がありました。

 

  ①誹謗中傷が行われたアカウントや日時を特定する。

  ②【裁判手続1】SNS等の運営事業者より、上記①を基に当該誹謗中傷の投稿に関する情報

  (ログといって、IPアドレス(インターネット上の住所のようなもの)

   やSNS等への接続日時などの情報)を開示させる。

  ③上記②の情報を基に、加害者が利用する通信事業者を特定する。

  ④【裁判手続2】上記③で特定された通信事業者より、上記②の情報を基に、

   通信事業者が保有する加害者の氏名、住所、電話番号等を開示させる。

  ⑤【裁判手続3】加害者に対し損害賠償の訴えを提起する。
  

 以上のとおり、2022(令和4)年10月の法改正までは、被害者が加害者を特定し、加害者に対して損害賠償請求を行うためには、三つの裁判手続を行う必要があり、事件をすべて解決するためには非常に長期を要するものでした。

 

 しかし、2022(令和4)年10月の法改正において、円滑な被害者救済を図るため、上記【裁判手続1】と【裁判手続2】の手続を一つの裁判手続で一体的に行えるようになりました。
 これにより、加害者特定までの裁判手続が、およそ半年から1年近く短縮されることになります。

 

開示情報の範囲の明確化

 

 投稿者がアカウントにログインをして投稿を行うサービスを提供するSNS等の運営事業者においては、加害者が当該SNS等にログインを行った際の通信事業者からの接続情報を保存していても、加害者が誹謗中傷を行った投稿に関する情報は保存していないとする事業者もみられました。

 

 SNS等の運営事業者が、加害者が誹謗中傷を行った投稿に関する情報を保存していないとする場合、加害者が当該SNS等にログインを行った際の情報を開示させる必要があるのですが、それが「権利侵害に係る発信者情報」に当たるかなどについて、裁判所の判断が分かれている状況にありました。

 

 そこで、2022(令和4)年10月の法改正では、円滑な被害者救済を図るため、加害者特定のために必要となる一定の場合において、加害者が行った誹謗中傷に近接する当該SNS等にログインを行った際等(「侵害関連通信」)の情報を「特定発信者情報」として、被害者から開示請求を行うことができることとされました。

 

 したがって、法改正により、加害者の特定のためには、加害者が当該SNS等にログインを行った際の情報開示が必要となる場合であるにも拘わらず、裁判所からは、それが「権利侵害に係る発信者情報」には当たらないといった判断がされ、その情報が得られないというおそれはなくなったものといえます。

 

最後に

 

 インターネットにおける誹謗中傷に対しては、本稿で紹介した裁判手続を利用し、匿名の加害者を特定して損害賠償請求を行うことのほか、加害者の特定をせずに当該投稿に対する削除請求を行うといった裁判手続もございます。

 当事務所では、インターネットの誹謗中傷への対応について豊富な経験を有する弁護士が、裁判手続以外の対応策も含め、個別のご事情に沿った解決策をご提案させて頂きます。ぜひお気軽にご相談を頂ければと存じます。

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