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新たなビジネスの適法性を調査する:法令調査事前確認制度(ノーアクションレター制度)

#スタートアップ法務

2023.09.27

法令調査事前確認制度について

 

 スタートアップ企業など、事業者が新たなビジネスを展開しようとしたり、新たな商品やサービスを提供しようとしたりする場合、

・その事業活動が法令に違反しないか

・その事業活動が法令の適用によって当該規制を受けるのか

などが不明確であり、思い切ってビジネスを進めることができず、事業活動が委縮してしまうということも想定されます。

 

 政府は、こうした問題に対処するため、平成13年3月27日、「行政機関による法令適用事前確認手続の導入について」を閣議決定し(行政機関による法令適用事前確認手続の導入について (meti.go.jp))、これを受けて各省庁では、法令の適用に関する事前確認の手続が置かれることとなりました。

 

 当該閣議決定においては、新規産業や新商品・サービスの創出が活発に行われる分野について、

①「民間企業等がある行為を行うに際し、法令に抵触するかどうかについての予見可能性を高めるため、当該行為について特定の法令の規定との関係を事前に照会できるようにする」

②「行政の公正性を確保し、透明性の向上を図るため、当該照会内容と行政機関の回答を公表する」

こととするとされています。

 

 以下、経済産業省において導入されている法令適用事前確認手続を例として紹介していきます。

 

経済産業省における法令事前確認手続

 

 経済産業省に対して行うことができる法令の適用に関する事前確認の概要は以下のとおりです。

照会事項

 

 経済産業省の所管法令について、以下の事項を照会することができます。 

 

 ①法令に基づく不利益処分の適用の可能性があるかどうか

 ②法令に基づく許認可等を受ける必要があるかどうか 

 ③法令に基づく届出・登録・確認等を受ける必要があるかどうか

 

 なお、経済産業省のHPにおいて、同省の所管法令としては以下の70の法令を確認することができます。

 

 1.アルコール事業法

 2.液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律

 3.ガス事業法

 4.外国為替及び外国貿易法

 5.外国為替令

 6.割賦販売法

 7.火薬類取締法

 8.関税定率法

 9.揮発油等の品質の確保等に関する法律

10.金管理法

11.金属鉱業等鉱害対策特別措置法

12.産業標準化法

13.鉱業法

14.工業用水道事業法

15.鉱山保安法

16.ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律

17.資源の有効な利用の促進に関する法律

18.下請中小企業振興法

19.自転車競技法

20.消費生活用製品安全法

21.使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律

22.商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律

23.消費生活用製品安全法

24.商品先物取引法

25.商品投資に係る事業の規制に関する法律

26.食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律

27.深海底鉱業暫定措置法

28.石油需給適正化法

29.石油の備蓄の確保等に関する法律

30.石油パイプライン事業法

31.絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律

32.半導体集積回路の回路配置に関する法律

33.地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律

34.地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律

35.中小企業団体の組織に関する法律

36.中小企業団体の組織に関する法律施行規則

37. 中小企業等協同組合法

38.中小小売商業振興法

39.中心市街地の活性化に関する法律

40.電気用品安全法

41.電子署名及び認証業務に関する法律

42.電気事業法

43.特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律

44.特定家庭用機器再商品化法

45.日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法

46.熱供給事業法

47.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律

48.弁理士法

49.液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律

50.輸出入取引法

51.輸出貿易管理令

52.輸入貿易管理令

53.容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律

54.遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律

55.水銀による環境の汚染の防止に関する法律

56.水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令

57.化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律

58.化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律

59.航空機製造事業法

60.航空機工業振興法

61.高圧ガス保安法

62.自転車競技法

63.小型自動車競走法

64.対人地雷の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律

65.中小小売商業振興法

66.中小小売商業振興法施行令

67.特定機器に係る適合性評価手続の結果の外国との相互承認の実施に関する法律

68.日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の実施

69.に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法

70.武器等製造法

 

照会書に記載すべき事項

 

 経済産業省に提出する照会書には、以下の必要事項を記載するものとされています。

 

  ① 将来照会者自らが行おうとする行為に係る個別的な事実

  ② 適用対象となるかどうかを確認したい法令の条項

  ③ 当該法令(条項)の規定の適用対象となるかどうかについての見解及び

   その結論を導き出す論拠

  ④ 照会及び回答内容が公表されることに同意していること

 

回答までの期間

 

原則、照会書受領から30日以内

 

照会及び回答内容の公表

 

原告、回答から30日以内に経済産業省HPで公表
※照会書の提出時に、公表遅延の希望を申し出ることができる。

 

最後に

 

 法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)については、確認したところ、本稿で紹介した経済産業省のみならず、公正取引委員会、警察庁、金融庁、消費者庁、こども家庭庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、環境省、原子力規制委員会において利用することができます。

 

 また、法令適用事前確認制度については、原則として30日以内に当該法令の所管官庁からの回答が得られるという点は、スピードが求められるビジネスにおいて一定の利用価値があるものと考えられます。
 もっとも、照会及び回答が公表されてしまうため、競合他社に今後行おうとしているビジネスの内容が知られてしまうというリスクはあります。

 公表遅延の希望を申し出ることができるとされていますので、これにより競合他社に知られることを遅らせることで、当該リスクを無視できるものとなるか否かが、法令適用事前確認手続を利用する上でのポイントになるものと考えられます。

 

 当事務所では、行政での豊富な経験を有する弁護士が、照会書の作成等、行政への対応をお引き受けすることができますので、法令適用事前確認手続等を利用した新たなビジネスの適法性に関する調査に関心がおありの方は、ぜひお気軽にご相談を頂ければと存じます。

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